社長記者会見・疑似体験研修

先日、JMA(日本能率協会)主宰の「部長のためのマネージメントコース」にコメンテーターとして参加をしてきました。一部上場企業の精鋭・経営幹部候補20名(40代後半)が集まって、戦略経営論に冴えを見せる神戸大学・三品教授のイニシアティブで切磋琢磨。その10回(10ケ月)コースの最終日。卒業イベントとして、「数年後に自身が社長になったとしての記者会見」をイメージしきって “10分就任演説+20分質疑応答”、という内容。 そして私の役どころは記者として「厳しい質問を突き付ける」というもの。JMAさんによる「場の設営」は本格的で、経団連会館の会議室に6~7基ほどの報道用ビデオカメラを据え、カメラのフラッシュも常時浴びせ、受講生は相当な“なりきり感”をもって臨んでいました。

ライティングの熱気もあわせ、皆さん汗だくで真剣に会見でメッセージを発し、そして間髪入れずの会見後・質疑応答タイムでは、 「なぜ時価総額が低迷しているのか?」 「グローバル競争で勝ち抜ける“個人”は育っているのか?」 「なぜ選ばれたと考えるか?使命は?」 といった矢のような質問にも各人各様のスタイルで答えておられました。30分を乗り切ったころには“ホッとした顔”を浮かべる方もいれば、“覚悟”が腹に落ちたたたづまいの方も。 10ケ月研修のうちに中東赴任となったプラントエンジニアリング会社の方など、修羅場をくぐった野武士のように実に堂々と対応されていました。

Future Pullという技法があります。それは、未来のあるべき自分を「語ること」で強く自覚(固着)し、それと現在の自分との差を内発的に意識し、その未来へ自身を引っ張られていくようしむけるもの。JMAさんの場のしつらえはその記憶固着力を強める為でしょうし、かなりパワフルに体験が脳に入ったのでは、と。 今後、折に触れて “振返り(reflection)” をそれぞれが行う際にも社長目線で発したメッセージの記憶が鮮明に蘇るのではないでしょうか。ミドルマネージメントから役員に向かわれる手前でこのような機会がもてるのはとてもポジティブなインパクトを個人の成長にもたらすように感じました。

この10回研修において、インドを訪問し現地企業社長と「グローバル社会の現実をどうみるか?」をテーマに意見交換をしたり、先達(三菱ケミカルHD社長、セコム会長、花王顧問、等そうそうたるメンバー)による講演を聞いてディスカッションを行ったりで、事業観・人間観・歴史観・世界観を付けるための深い仕掛けが張り巡らされていました。社長記者会見も含めてこれらの研修効果を活かすには日々の活動と如何に紐づけていけるかでしょうし、受講生みなさんの日々の研鑽とうまく連結されていくよう願うばかりです。

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